磁気回路の設計

基礎計算式

磁気回路においても、電気回路と同じような回路法則が成り立ちます。
即ち、磁気回路をそれと等価な電気回路に置き換えてオームの法則を適用して考えます。マグネットの起磁力をF、全磁束をΦtとし、回路の磁気抵抗(リラクタンス)をRとすれば

で表わされます。
この磁気低抗は、回路の空隙長をℓg、空隙の断面積をagとすると

となります。μは磁路の透磁率で空気の場合は真空の透磁率に等しく、μ0となります。(μ0=4π×10-7〔H/m〕)

〈第7図〉

電気回路では電流が回路外に漏れることはほとんどありませんが、磁気回路では絶縁部と導体ヨークとの透磁率の差があまり大きくないため実際には磁束の漏洩も大きくなります。この漏れ磁束分は漏洩係数(leakage factor)σとして磁気回路に生ずる全磁束Φtと空隙の有効磁束Φgとの比で表わされます。

また、磁気回路中の接ぎ目などによる磁束の損失も考慮に人れなければなりません。これは起磁力損失係数(reluctance factor)としてfで表わします。漏洩係数σは空隙面の増加分に相当し、起磁力損失係数fは空隙長の補正係数を意味しますから、修正された磁気抵抗は

となります。この磁気抵抗の逆数をパーミアンス:Pと呼び、一般的にはこのパーミアンスを用いて計算を行ないます。①式に代入して

マグネットの断面積をam、長さをℓmとし、マグネット内の減磁界をHd磁束密度をBdとし、マグネット内の磁束密度が一様であるとすれば

と表わされます。⑥式よりパーミアンス係数を求めると

これに⑤式を代入すると

となります。従ってマグネットから見た外部パーミアンスPをマグネットの単位体積当りに換算したものがパーミアン係数Pcであるともいえます。以上がパーミアンスを決定する基本式となります。起磁力損失係数fは、概ね1.1~1.3の値で通常1.2とすれば大きな誤差はありませんが、漏洩係数σはある程度変動するため、計算により求めなければなりません。③式より

ここでFt/Fgは起磁力損失係数に相当しますから

となります。Ptは空隙パーミアンスと漏洩パーミアンスの和となりますから

PgはPg=μag/ℓgとして容易に算出できますが、漏洩パーミアンスは相当複雑になるため、第8図のようにそれぞれを単純化して算出す るのが一般的です。このようにしてそれぞれのパーミアンスを求め、σを算出します。

各種空間のパーミアンス

〈第8図〉

マグネット単体におけるパーミアンス係数

一般にマグネットは極部に鉄板などを付けて使用します。磁性材を取り付けないでマグネット単体で使用することも稀ではありません。このようなマグネット機器の設計に際しては、第9図~第11図を参考にしてください。

角形磁石のパーミアンス係数と寸法比との関係

〈第9図〉

円柱形磁石のパーミアンス係数と寸法比(L/D)との関係

〈第10図〉

軸方向磁化の管状磁石のパーミアンス係数(B/H)

〈第11図〉