ネオジム磁石とは
永久磁石の中で、最も磁力の強い磁石です。ネオジム磁石は、Ndネオジム、Fe鉄、Bボロン(ホウ素)を主原料とした希土類磁石の一つ。1984年に、住友特殊金属株式会社(現:株式会社プロテリアル)の、佐川眞人氏によって開発された焼結磁石です。
主原材料
基本組成は約60%がFe、約30%がNd、他Dyなどを添加し、Dyの含有量が多い程、耐熱性が高くなります。原料にNdやDyなど、希少鉱物が含む為、市況に依り、ネオジム磁石の製品価格も、著しく変動する。
用途目的
小さくても強力な磁石な為、小型から大型なサイズまで、幅広い分野目的で利用されています。永久磁石は、電化製品や生活用品、自動車産業から、先端医療、ハイテク分野に至る迄、一般的に製品の外装に内蔵された状態で用いられています。その為、普段磁石の現物を目視する機会はありません。しかし、私たちの身近なあらゆる場所で用いられ、モーターやスピーカー、電子記録媒体などに内蔵されています。例えば私たちが日々使っている、携帯電話の中には、スピーカー音、吸着、振動など、異なる用途と動作目的で、複数の形状のネオジム磁石が内蔵されています。従って今日では、ネオジム磁石は私たちの生活になくてはならない、必須品と、考えられています。
利点欠点
小さくて強力であることが、最大の利点です。しかし、ネオジム磁石には、様々な欠点と対策が必要とされています。鉱物原料紛を圧縮し焼き固めて作られた製品である為、所感は硬質であるものの、軟性がない故、落下や衝突などの衝撃で、用意に破損します。原材料に、限られた希少金属が含まれている為、一般的に高額になる傾向があります。また錆び易く、空気の触れる環境下では、金属メッキあるいは、エポキシメッキなど、表面処理コーティングは必須とされています。
選定方法
ネオジム磁石には、実に60種類以上の材質等級があり、現在でも開発が進められ、更に高い耐熱性と、強い磁力が誕生しつつあります。これらは用途と目的によって選定する事ができます。等級番号の数値が高い程、Br残留磁束密度(磁力・吸着力)が強くなります。同じく等級記号が高い程、Hc保持力(耐熱性)が高くなります。これらの特性の違いは、原料の含有比率によって調整管理されています。現在の製法と配合の技術では、磁力と耐熱性を、両方共に高める事ができない為、Br(磁力)を高くすれば、Hc(耐熱)が低くなり、Hc(耐熱)を高くすれば、Br(磁力)が低くなります。これらの優れた特性を、どちらも共に兼ね備える事ができない為、用途目的により、これらのバランスを、最大エネルギー積(BH-max)の値で、判断選定することもできます。
等級 | 記号 | Br | |||||||||
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残留磁束密度 | |||||||||||
Normal | Midiam | High | Super | Ultra | Extra | Awesome | Residual Flux Density | ||||
N | M | H | SH | UH | EH | AH | mT | kG | |||
番号 | 28 | ● | 1040-1090 | 10.4-10.9 | |||||||
30 | ● | ● | ● | 1080-1130 | 10.8-11.3 | ||||||
33 | ● | ● | ● | ● | 1130-1170 | 11.7-12.2 | |||||
35 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 1170-1220 | 11.7-12.2 | ||
38 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 1220-1250 | 12.2-12.5 | ||
40 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 1250-1280 | 12.5-12.8 | ||
42 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 1280-1320 | 12.8-13.2 | |||
45 | ● | ● | ● | ● | ● | 1320-1380 | 13.2-13.8 | ||||
48 | ● | ● | ● | ● | 1370-1420 | 13.7-14.2 | |||||
50 | ● | ● | ● | ● | 1390-1440 | 13.9-14.4 | |||||
52 | ● | ● | ● | ● | 1420-1470 | 14.2-14.7 | |||||
55 | ● | ● | ● | 1460-1520 | 14.6-15.2 | ||||||
保持力 | Hcj | kA/m | 955 | 1114 | 1353 | 1592 | 1990 | 2388 | 2706 | Coercive Force | |
kOe | 12 | 14 | 17 | 20 | 25 | 30 | 34 | ||||
耐熱 | 上限工作 | ℃ | 80 | 100 | 120 | 150 | 180 | 200 | 220 | Working Temperature | |
キュリー | ℃ | 310 | 320 | 330 | 340 | 350 | 350 | 400 | Curie Temperature | ||
含有量 | Nd | % | 16-24.8 | 17.6-24.8 | 18.4-24 | 19.2-23.2 | 20-21.6 | 19.2-23.2 | 19.2-23.2 | Neodymium | |
Fe | % | 66-67.5 | 66-67.5 | 66-67.5 | 66-67.5 | 66-67.5 | 66-67.5 | 66-67.5 | Ferrum | ||
B | % | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | Boron | ||
Dy | % | 0 | 0-0.5 | 0-0.8 | 0.5-2 | 3.8-5.8 | 4-8.5 | 0-3 | Dysprosium | ||
Pr | % | 4-6.2 | 4.4-6.2 | 4.6-6 | 4.8-5.8 | 5-5.4 | 4.8-5.8 | 4.8-5.8 | Praseodymium | ||
Al | % | 0-0.5 | 0.3-1 | 0.5-1 | 0.3-0.8 | 0.2-0.5 | 0.2-0.3 | 0-0.2 | Aluminium | ||
Cu | % | 0-0.2 | 0-0.2 | 0-0.2 | 0-0.2 | 0-0.2 | 0-0.2 | 0-0.2 | Cuprum |
電解金属鍍金
ネオジム磁石は錆び易い為、空気に触れる環境で、表面処理が必須です。これらの性質を利用し、美観的外観を重視した製品に用いる事もできます。防錆能力を維持しながら、環境に適した金属鍍金の選定や、ある程度の色合いや、光沢度を選ぶことが可能です。
3層光沢ニッケル
3層半光沢ッケル
亜鉛三価クロメート
グレーエポキシ
ニッケル+クロム
ニッケル+スズ
ニッケル+銀
ニッケル+銅
ブライトニッケル銅ニッケル
ブラック ジンク
ブラッグサテン+ニッケル
ブラッグニッケル+銅+ニッケル
ブルー&ホワイト亜鉛
ホワイトサテンニッケル
単層光沢ニッケル
単層半光沢ニッケル
金